外反母趾と過回内の関係とは?足の傾きが親指に与える影響を専門家が解説

外反母趾というと、親指の変形や靴による圧迫をイメージする方が多いのではないでしょうか。
しかし、外反母趾を考えるうえでは、親指だけでなく、足全体の傾きや歩くときの体重のかかり方にも目を向けることが大切です。
その一つとして注目されるのが「過回内(かかいない)」と呼ばれる足の動きです。
過回内は外反母趾と関連する可能性がありますが、過回内があるからといって必ず外反母趾になるわけではありません。
今回は、過回内と外反母趾の関係について、足部の構造や歩行の仕組みから解説します。
過回内とは?足が内側に傾く仕組み
足の回内は、本来足に必要な動き
足の「回内」とは、歩行中に足が地面からの衝撃を吸収し、路面に適応するために起こる複合的な動きです。
この動きには、足首の下にある距骨(きょこつ)や、かかとの骨である踵骨(しょうこつ)などが関わっています。
回内が起こると、踵骨は外反方向へ傾き、距骨の動きとともに土踏まずが低くなる方向へ変化します。
これは歩行に必要な正常な機能です。
過回内では何が起こる?
過回内とは、足の回内が必要以上に大きくなったり、回内した状態が長く続いたりすることを指します。
例えば、歩行中に足が内側へ大きく倒れ込み、土踏まずが過度に低下するような動きがみられる場合があります。
ただし、土踏まずが低いことと、歩行中に過回内が起こっていることは同じではありません。
立っているときの足の形だけでなく、実際に歩いているときの動きを確認することが重要です。
過回内が親指の動きに影響する仕組み

①距骨・踵骨の動きと足のアーチ
足のアーチは、骨や靱帯、筋肉などが協調して支える構造です。
歩行中に距骨や踵骨の動きが変化すると、足のアーチの高さや柔軟性、地面への接地の仕方にも変化が生じます。
特に回内が大きい場合、内側縦アーチが低下し、足の内側部分にある第一中足骨周辺の動きや荷重にも影響する可能性があります。
②第一中足骨と親指の関節への影響
親指の付け根には、第一中足趾節関節(MTP関節)があります。
この関節は、歩行の終盤で踵が持ち上がり、身体を前方へ移動させる際に重要な役割を担っています。
また、第一中足骨を含む足の内側の部分は「第一列」と呼ばれ、足の支持や荷重に関わっています。
過回内に伴って第一列の動きや位置関係が変化すると、親指の付け根の関節運動にも影響する可能性があります。
③歩行時の荷重バランスの変化
歩行中、親指は身体を前方へ移動させる際の支持に関わっています。
外反母趾のある方を対象とした歩行研究では、親指部分にかかる力が小さくなる傾向が報告されています。
そのため、外反母趾を評価する際には、親指の変形だけでなく、足裏のどこに体重がかかり、どのように踏み返しているかを確認することも大切です。
外反母趾の原因は、過回内だけではない

外反母趾には、足の骨格的な特徴や遺伝的要因、加齢、靴の形状など、さまざまな要素が関係しています。
特に、つま先の狭い靴は親指を圧迫し、外反母趾に関連する要因として報告されています。
また、足の構造には個人差があるため、同じような過回内がみられても、外反母趾の程度や痛みの有無が異なる場合があります。
過回内があるから外反母趾になる、あるいは過回内を改善すれば外反母趾が治る、という単純な関係ではありません。
複数の要因を考慮することが重要です。
当院が大切にしている足の評価

当院では、外反母趾を親指だけの問題として捉えるのではなく、足全体の機能や歩行との関係を確認することを大切にしています。
当院では、距骨と踵骨を中心とした足元の機能的なバランスを「TCバランス®」という視点から捉えています。
具体的には、次のような点に着目しています。
距骨・踵骨の位置関係と傾き
立っているときのかかとの傾きや、荷重した際の足部の変化を確認します。
足裏の荷重バランス
足裏の接地状態や体重のかかり方を確認し、左右差や荷重の偏りを評価します。
親指の動きと歩行
親指の付け根の関節可動域や足趾の働き、歩行中の足の使い方を確認します。
こうした評価を組み合わせることで、外反母趾に伴う負担を、足全体の機能という観点から考えていきます。
まとめ | 外反母趾は親指だけでなく、足全体をみることが大切
外反母趾と過回内には関連が示唆されていますが、すべての方に共通する原因ではありません。
過回内によって足のアーチや荷重バランスが変化すると、親指の関節や歩行時の働きにも影響する可能性があります。
そのため、外反母趾について考えるときは、親指の角度だけでなく、距骨・踵骨の動き、足裏の荷重、足趾の機能、歩行まで確認することが大切です。
当院では、こうした足全体の機能に着目し、一人ひとりの状態に応じた評価を行っています。
外反母趾の痛みや歩行時の不安がある方は、こちらもご覧ください。
参考文献・医学的根拠
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